東京藝術大学名誉教授・三田村有純先生から「宇宙との対話 : 凛子の今世」の推薦文をいただきました。

エネルギーに溢れた未来を創りだす

                          
東京藝術大学名誉教授 三田村有純

石川陽子さんに出会った方の誰もが同じことを感じている。
こんなにも明るく、生命力に溢れ、そして未来への確かな方向性を持ち、それを自らの言葉で語れる方はいないということである。

本書には、生きることへのたくさんの気づきをもたらしてくれる言葉が溢れている。
ページを捲るたびに「次は何に関する“まこと”に触れることができるのだろうか」と、ワクワクするのである。

今の世の中、日本だけでなく、世界情勢は何もかもが混沌とし、
真(まこと)の世界がどこにあり、それが何であるのかがわからなくなっている。

人の一日の生活リズム、生きている中で、皆が毎日、本物に触れているのだろうか?
形だけ、見かけだけのものが溢れ、それに囲まれているのではないだろうか。
そして本物とは何かを、私たちはわからなくなっているのではないだろうか。

バーチャルという仮想空間を中心に生きている人々にとっては、
情報を含めてそこにあるものの中に真実を探そうとする。
しかし、そこには――
遺伝子が持っている“本質を見抜く力”の出番がないのである。

それに対して、自然界はすべて本当のことを教えてくれる。

夕焼けで赤く染まった西の空、
雨上がりの虹の彩り、
山間に湧き立つ雲、
夜の帷(とばり)の中で静かに動く月と星たち…。

人はその中に佇むと癒され、心が落ち着いてくる。
偉大な自然に囲まれると、人の心の奥底にある「本物を見抜く感性」が再び溢れてくるのである。

藝術の世界でも、本物を見極めるには多くの修練が必要である。
絵画でも彫刻でも、偽物ばかりを見ていては、本物を見つけることはできない。
オペラでも、歌舞伎でも、能でも――
本物を見たことがなければ、その本質を見抜くことはできないのである。

この出版物の中には、本物を見出すための知恵と哲学が溢れている。
今はAIが人の心までも支配し、その技術によって作られたものに、生き様さえも変えられようとしている。

だからこそ、人々が手で作り上げていく「本物」の中に、豊かな未来があることを、
ぜひこの本から学び取ってほしい。